SNSアプリ・LINEから起動できる「LINEミニアプリ」は、サービス業や小売業における顧客向けサービスの提供に最適です。LINEミニアプリそのもので顧客満足度を高めながら、1to1の接客に欠かせない顧客データが集められます。
しかも従来の各種アプリにあった、
- iOS版とAndroid版両方の開発
- 決済時の手数料徴収
- 新規会員登録にともなうメール配信・確認
…etc.が不要で、企業にもユーザーにもやさしいフォーマットなのです。
前編ではLINEミニアプリについて、概要やメリットをお伝えしていきます。
目次
LINEミニアプリとは?
まずはサービス業や小売業での普及が進む「LINEミニアプリ」について概要を紹介。LINEとの関係性・できることについても、解説していきます。
LINEミニアプリの概要
「LINEミニアプリ」は、スマートフォン版LINEのサービス上(LIFFブラウザ)で動くウェブアプリの総称です。LINEをインストール済みのユーザーであれば、追加インストール・会員登録なしで使えるという特徴をもちます。
このLINEミニアプリは、
- 端末へのインストールを要する「ネイティブアプリ」
- 起動ごとにログインを要する「旧来のウェブアプリ」
等に代わる注目株。2020年の正式リリース後から「企業・店舗のサービスを提供するアプリ」としての利用が拡大しています。
LINEミニアプリとLINEの関係性
LINEとLINEミニアプリの関係性は、LINEが親・LINEミニアプリが子の親子関係です。うち親側は一般に「スーパーアプリ」とも呼称されます。このスーパーアプリの形式をとるアプリには、
- 端末のストレージ容量が抑えられる
- インストールにともなう通信容量が抑えられる
といった強みがあります。
※ミニアプリにつきましては、弊社のソリューションブログで詳しく解説しております。
→ミニアプリとは?わかりやすい例やアプリ開発の手順を解説
LINEミニアプリで実装できる機能
LINEミニアプリのフォーマットを使えば、サービス業や小売業に特化したアプリが簡単に開発できます。具体的には
- デジタル会員証
- ポイントカード
- スタンプカード
- 決済システム(LINE Pay / クレジットカード)
- モバイルオーダーシステム
- 順番待ちシステム
- 来店予約システム
といった機能がLINEミニアプリで実装可です。その利便性から、さまざまな業種でLINEミニアプリの普及が進んでいます。
LINE公式アカウントとの違い
LINEを使った販促には、LINEミニアプリのほかに各事業用の「LINE公式アカウント」があります。LINEミニアプリとLINE公式アカウントで異なるのは、
- 取得できるユーザーデータ
- 配信機能
- UIのデザイン
- 開発・導入の方法
の4点です。まずは、CRM(顧客関係管理)に欠かせないユーザーデータから、詳しくみていきましょう。
取得できるユーザーデータ
LINEミニアプリであれば以下のとおり、さまざまなユーザーデータが集まります。
- LINEのユーザーID
- ミニアプリの利用状況
- (POSレジとの連携で)購買データ
これを応用すれば、「各人の来店回数に応じて割引クーポンを配布する」といったことが可能に。文字通り、ユーザー一人ひとりの動向が把握できるのです。
対してLINE公式アカウントから得られるユーザーデータは「ユーザー全体でのメッセージ開封数」のみです。個別の動向までは追えません。
配信機能
一方、配信機能についてはLINE公式アカウントに軍配が上がります。
LINE公式アカウントであれば、
- 顧客とのコミュニケーション
- 新着情報の配信
- お得な情報の配信
が可能です。繰り返し配信することで、顧客ロイヤリティの向上に貢献してくれるでしょう。
対してLINEミニアプリでは、「ポイントの期限切れの通知」「購入確認」など、サービスメッセージのみが配信可能です。また、販促メッセージはNG / 配信は年間5回まで…etc.の制約があります。
開発・導入の方法
LINEミニアプリとLINE公式アカウントとでは、開発・導入の方法が大きく異なります。
まずLINE公式アカウントは、専用管理画面「LINE Official Account Manager」から開設できるので導入にあたって、開発の工程は不要です。
対してLINEミニアプリの導入は、ときに本格的な開発の工程を要します。具体的には、
- ベンダーが用意するパッケージを利用して開発
- 自社のサービスに合わせて個別開発
のいずれかのアプローチで導入が可能です。
UIのデザイン
LINEミニアプリとLINE公式アカウントでは、UIのデザインも異なっています。
LINE公式アカウントのUIは、ユーザーどうしのトークルームのものとほぼ同様です。ただ、ユーザー間のトークルームと違って、画面下部に「リッチメニュー」が付属します。
対して、LINEミニアプリのUIは千差万別です。開発に用いたパッケージによって、デザインが大きく変わります。
LINEミニアプリの企業側のメリット6点
ここからはLINEミニアプリのメリットについて解説していきます。まずは、LINEミニアプリを開発・提供する企業にとってのメリットから、詳しくみていきましょう。
SNSシェア日本一のLINEが活用できる
LINEミニアプリ最大の強みは、SNSシェア日本一のLINEからアクセスできるという点にあります。
NTTドコモ モバイル社会研究所によると、10代から60代で8〜9割、70代でも7割がLINEを使用しているとの結果が出ています。つまり自社サービスをLINEミニアプリで出すことで、若年層はもちろんシニア層もターゲットにできるのです。
各種ユーザーデータが簡単に集められる
LINEミニアプリであれば、会員登録の過程を飛ばしてユーザーデータが集められます。具体的には、ユーザーがLINEミニアプリを使用するだけで
- LINEのユーザーID
- LINE Profile+の情報(氏名 / 性別 / 誕生日 / 住所 / 電話番号)
- 属性
- 行動データ
- (POSシステムとの連携で)購買履歴
といったデータが収集可能。会員登録の有無を問わず、行動に基づいたコミュニケーションが取れるのです。
LINE公式アカウントの友だちが増やせる
LINEミニアプリなら、起動時にさりげなくLINE公式アカウントの友だち追加ができます。
LINEミニアプリとLINE公式アカウントを連携させていると、初回起動時の認証画面に「友だち追加」のチェック項目が出現。こちらはデフォルトの状態では「許可」となっています。ユーザーの多くはわざわざチェック項目を外さないため、自然と友だちが増えるという原理です。
開発期間・コストが削減できる
LINEミニアプリは、モバイル端末用のネイティブアプリと比べて、開発期間・コストが抑えられます。
自社サービスをネイティブアプリとしてリリースするには、iOS版とAndroid版で計2つのアプリが必要です。そのため開発期間もコストも、かさむ傾向にありました。
対してLINEミニアプリであれば、アプリ1つでiOSにもAndroidにも対応できます。あわせてパッケージを利用することで、開発期間・コストともに削減が可能です。
決済時の手数料が抑えられる
ネイティブアプリ(iOS / Android)では、アプリを通した売上のうちの15〜30%を、アプリストア運営元が手数料として徴収します。
対してLINEミニアプリでは、決済時の手数料がありません。したがって従来よりも安くで、課金サービスが実現します。
ブロックの影響を受けづらい
LINEミニアプリのサービスメッセージは、連携先のLINE公式アカウントがブロックされている状態でも、友だち(ユーザー)に届きます。したがって初回利用後、LINE公式アカウントをブロックしてしまった層に対してもアプローチが可能です。
またLINEミニアプリ経由の友だちは、「起動時の認証」という心理的ハードルを超えていることから、ブロック率が低い傾向にあります。
したがってLINE公式アカウントは、LINEミニアプリとの併用で、単体のときよりもブロックの影響を受けづらくなるのです。
LINEミニアプリのユーザー側のメリット4点
続いては、LINEミニアプリを利用するユーザーにとってのメリットも解説していきます。
よく使うLINEの中で動線が完結する
従来のウェブアプリでは、起動時にブラウザの立ち上げとログインが必要でした。
対してLINEミニアプリなら、起動毎のログイン操作がありません。しかも慣れ親しんだLINE内の
- ホーム画面
- 連携先LINE公式アカウントのリッチメニュー
などから、ワンタップで起動できてしまうのです。
追加のアプリダウンロードが要らない
LINEミニアプリを使用するにあたって、スマートフォンに入れるアプリは「LINE」のみ。追加でのアプリのダウンロードは不要です。
つまり従来のネイティブアプリと違って
- 端末のストレージが節約できる
- ダウンロードでの通信容量の消費がない
- 端末の待受画面が雑多にならない
以上の具体的な強みがあります。
追加の会員登録も要らない
LINEミニアプリはLINEユーザーであれば、追加の会員登録なしで気軽に使えます。従来のウェブアプリにあった、
- Safari / Chromeを立ち上げる手間
- 会員登録時のメールを介した認証の手間
- 以上にともなう、通信容量の浪費
は一切ありません。
LINE外からでも起動できる
LINEミニアプリは、LINE外部のリンクやQRコードからでも直接アクセスができます。公式サイト・SNS・チラシをチェックして気になったLINEミニアプリがあれば、それをすぐに始められる点もメリットといえるでしょう。
後編ではLINEミニアプリのデメリット、デメリットをカバーするような機能を備えた弊社でのLINEミニアプリの開発事例について紹介します。