Webサイト / メルマガ / SNS / アプリ / CRMツール…etc.集客・顧客育成の手段は多岐に渡ります。どれを導入するかは悩ましいところですが、なかでもおすすめはビジネス用に開設できる「LINE公式アカウント」と自社で開発・リリースする「アプリ」です。ともに「ユーザーと長期的な関係を築きたい」「目に見える形で売上を伸ばしたい」といった集客・顧客育成の本質的なニーズを満たす、ポテンシャルを秘めています。
今回はこのLINE公式アカウントとアプリをクローズアップ。両者の強みを7項目で比較して、それぞれに合った活用シーンを明らかにしていきます。「リピーターを育てたいけど、最適な方法がわからない」とお悩みの方は必見です。
目次
「LINE公式アカウント(旧LINE@)」の概要
「LINE公式(正式名称:LINE公式アカウント / 旧称:LINE@)」は、企業から個人までが無料で開設できるビジネス用のLINEアカウント。一般的なLINEアカウントとは異なり、集客・顧客育成を中心にBtoCビジネスで役立つ機能が満載で、一度「友だち追加」でつながったユーザーを対象に下記のアプローチがプッシュ通知付きで行えます。
- 各種メッセージ配信:不特定多数向けのコミュニケーション
- チャット:1to1でリアルタイムのコミュニケーション
- クーポン:LINEアプリから使える電子クーポン
- ショップカード:LINEアプリから使えるスタンプカード
- リサーチ:匿名制のアンケート
- リッチメニュー:トーク画面下部に表示できるリンク付メニュー
…etc.
こちらは国内人口の7割以上(約9,700万人)が日常的に利用するLINEを媒体にでき、無料からでも開設できる取り入れやすさが最大の魅力です。
LINE公式とよく比較される配信・集客手段「アプリ」
LINE公式に並ぶBtoCビジネスの配信・集客手段としては、自社で開発・導入する「アプリ」というものもあります。こちらにはiOSやAndroid等のアプリストアから提供する「ネイティブアプリ」とWebブラウザ上で提供する「Webアプリ」とで、大きく2種類の提供形態が存在。それぞれ、ユーザーにインストールや会員登録をしてもらうことで、以下のサービスが提供できます。
- プッシュ通知付きの配信
- アプリ上から使える電子クーポン
- アプリ上から使えるポイントカード
…and more!
こちらは自社独自のデザイン&機能で、自社ブランドに愛着を持ってもらえやすいのが魅力。特に、ネイティブアプリの場合は「スマートフォンのホーム画面から自社ブランドをアピールできる」という唯一無二の強みがあります。
※そのほか、Webアプリの派生形で、既存のアプリを間借りして提供する「ミニアプリ」という提供形態も存在。こちらはLINEアプリでも提供可能で、区別して「LINEミニアプリ」と呼ばれています。
LINE公式とアプリを7項目で徹底比較
ここからは、BtoCビジネスの配信・集客手段の中でもメジャーな「LINE公式」と「アプリ(ネイティブアプリ)」を徹底比較。コスト面からカスタマイズ性、使い勝手まで計7項目にわたって両者のメリット・デメリットを見比べていきます。
導入コスト
アプリに比べ、LINE公式は導入にかかる経済的・時間的コストの面で圧倒的に有利です。
まず、LINE公式については完全無料かつ数分程度でアカウント開設が可能。アカウントを開設した直後から、各種配信やクーポン、リッチメニューといった基本の機能が使えます。また、LINE公式+αの機能を外付けできるSaaS「LINE拡張ツール」や自社の「LINEミニアプリ」を追加で導入する場合も、既存のプラットフォームをフル活用してコスト削減が可能です。
対して、自社アプリを開発・導入する際には、パッケージ(既製品)を活用したとしても100万円単位の費用と数ヶ月単位の期間が必要。特に、「iOSとAndroidの2バージョンを開発して、売上の15〜30%をアプリストアに納める必要がある」というのが痛手です。
カスタマイズ性
機能・デザインのカスタマイズ性においては、LINE公式よりもアプリに分があります。
LINE公式は備え付けの機能が充実しているものの、機能・デザインの拡張は困難。下記のとおり、拡張ツールやミニアプリも込みだとある程度まで機能を拡張できますが、それ以上のカスタマイズはLINEアプリ(LIFFブラウザ)の仕様により制限されます。
代表的な機能 |
|
---|---|
LINE公式 |
・各種メッセージ配信 |
LINE拡張ツール |
・顧客一人ひとりを狙った配信 |
LINEミニアプリ |
・デジタル会員証(ポイント管理画面) |
一方、アプリではLINE公式・LINE拡張ツール・LINEミニアプリに準拠する機能が一通り実装可能。加えて、独自の機能やデザインも自由に追加できます。ゲームや診断等のインタラクティブコンテンツを提供したり、自社ブランドをアピールしたりすることで、顧客との関係構築や競合差別化が図れそうです。
ユーザーの獲得しやすさ
LINE公式とアプリとでは、ユーザー獲得の難易度に大きな開きがあります。
ユーザーを獲得しやすいのは断然、LINE公式です。LINE公式はLINEユーザーなら誰でも、「追加の会員登録&アプリインストールが不要」かつ「QRコードを読み取るだけ」で、友だち追加が可能。あわせて、友だち追加の報酬としてクーポンが用意できるため、ライト層も含めてユーザーは気軽に友だち追加をしてくれるといえます。
また、日本国内においては老若男女問わず人口の7割以上がLINEアプリを日常的に利用しているというのも、ユーザー獲得での追い風です。
対して、アプリは利用開始時に追加の会員登録やインストールが必要で、ライト層&シニア層のユーザーにとって心理的ハードルがあります。ロイヤルユーザー以外では、普及・浸透が困難かもしれません。
ホーム画面での存在感・アクセス性
LINE公式にない、アプリ独自の強みとしては「ホーム画面での存在感・アクセス性」が挙げられます。
ユーザーのスマートフォンにおいて、LINE公式の存在感は希薄。LINE公式はLINEアプリの1サービスでしかないため、ホーム画面から視認できず、LINEアプリを開いてもトークルームの一覧に埋もれてしまいます。また、利用の度にLINEアプリを開いてLINE公式を探す必要があるため、アクセスも困難です。
これとは対照的に、アプリではスマートフォンのホーム画面上にアイコンが表示されます。このアイコンがあると、ユーザーに自社ブランドを想起してもらいやすく、アクセス性もワンタップで起動できるため抜群です。
メッセージの届きやすさ
メッセージ・配信内容の届きやすさについては、LINE公式とアプリとで一長一短があります。
下表のとおり、基本的にメッセージが届きやすいのはLINE公式。生活インフラとして浸透しているLINEアプリを媒体とするため、プッシュ通知からメッセージを確認してもらいやすく、アンインストール等でつながりが途切れることはほぼありません。
LINE公式 |
アプリ |
|
---|---|---|
プッシュ通知 |
あり |
あり |
メッセージの開封率 |
約60% |
約15% |
メッセージがブロックされる割合 |
高(相場は30%) |
低 |
アンインストールされる割合 |
低 |
高 |
ただ、LINEアプリにはLINE公式アカウントのメッセージを一切受信しない「ブロック」という機能があります。一度、ユーザーからこのブロックをされてしまうと、LINE公式側からメッセージを届けることが実質不可能に。しかも、ブロックは「メッセージ配信の頻度が多い」などの理由で、比較的簡単に起きてしまいます。
※LINE公式のブロック中でも、LINEミニアプリの「サービスメッセージ」からなら、ユーザーにアプローチが可能です。ただ、サービスメッセージには「販促禁止」や「配信は年間5回まで」といった制約があり、ポイントの期限切れの通知や購入確認などでしか使えません。
メッセージの配信コスト
アプリとは違い、LINE公式では月間200通を超えてメッセージを配信する際に料金が発生します。具体的には、月間201〜5,000通を配信する場合は「ライトプラン」へ、月間5,001〜30,000通を配信する場合は「スタンダードプラン」への加入がそれぞれ必須。さらに、月間30,000通を超えてメッセージを配信する場合は、従量課金制で追加料金が発生します。(下表参照)
コミュニケーションプラン |
ライトプラン |
スタンダードプラン |
|
---|---|---|---|
月額固定費 |
無料 |
5,000円 |
15,000円 |
無料メッセージ通数 |
200通 |
5,000通 |
30,000通 |
追加メッセージの可否・料金 |
不可 |
不可 |
〜3円/通 |
備考 |
【1通の基準】 【メッセージ通数にカウントされるもの】 【メッセージ通数にカウントされないもの】 |
参考資料:LINE公式アカウント 料金プラン
もっとも、抱えるユーザーが少数であるうちは、アプリよりもLINE公式がコスト面で有利。ですが、数万単位のユーザーが集まってくると、両者のコストパフォーマンスは逆転します。
顧客育成のしやすさ
顧客育成のしやすさでいえば、LINE公式よりもアプリにアドバンテージがあります。
LINE公式で顧客育成を成功させるには、どうしても配信の回数を増やす必要があります。その過程では、友だち追加をしてくれた多くのライトユーザーが自社のアカウントをブロックしてしまうこともあるでしょう。となると、「顧客育成を諦める」か「ブロックを諦める」かの2択になってしまいがちです。
対して、アプリでは温度感の高いユーザーのみを対象に、さまざまなコンテンツを密に提供可。効率よくロイヤルカスタマーが育成できそうです。
LINE公式とアプリの比較早見表
ここまでは、LINE公式とアプリの比較を駆け足でご紹介しました。もう一度、先ほどの比較内容を早見表にまとめましたので、以下をご覧ください。
LINE公式 |
アプリ |
|
---|---|---|
おすすめの使い方 |
ライト層・シニア層の顧客育成の入口として活用 |
ロイヤルカスタマーの維持・育成に活用 |
開発・維持コスト |
◎ |
× |
カスタマイズ性 |
△ |
◯ |
集客効率 |
◯ |
× |
画面上での訴求力・アクセス性 |
× |
◯ |
メッセージの到達率 |
◯ |
◯ |
メッセージの配信コスト |
× |
◯ |
顧客育成での適性 |
△ |
◯ |
両者を比較して言えるのは「それぞれに一長一短があり、最適な活用シーンが違う」ということです。個人経営・地域密着型で少数のお得意様を獲得したいビジネスには、費用対効果の極めて高いLINE公式が適任。対して、全国区で多くのリピーターから精鋭のロイヤルカスタマーを育てたいビジネスには、独自性・訴求力に優れるアプリが適しています。
LINE公式とアプリを併用するのも手
LINE公式とアプリはどちらか一方を導入するよりも、併用することで高い集客・顧客育成効果を発揮します。特に、下記の運用体制はお互いの短所が補完できるため、高い費用対効果が見込めそうです。
- LINE公式でライト層を集めてリピーター化を目指す
- アプリをリリースし、LINE公式や実店舗からリピーターを誘導する
(ユーザー数が1万の大台に乗ってきたあたりがタイミング)
また、「毎日の配信はアプリで、重要なお知らせのみLINE公式で」といった使い分け方も効果的でしょう。
まとめ
今回は、集客・顧客育成に用いられるLINE公式とアプリを7項目で比較しました。
記事を総括していえるのは、LINE公式にもアプリにも一長一短があるということです。LINE公式は抱えるユーザーが少ない場合の費用対効果で、アプリは万単位のユーザーを対象とした顧客育成効果でそれぞれ優れています。よって、活用シーンごとに最適なものを導入するのがおすすめです。
また、LINE公式とアプリを併用するという手段もあり、こちらはお互いの短所が補い合えます。どの運用形態をとる場合でも、LINE公式の導入には一考の価値アリ。開設のみなら完全無料・数分で始められますのでぜひ、お試しください。