LINEには個人用のアカウントのほかに、ビジネス用の「LINE公式アカウント」が存在します。こちらは友だち追加してくれたLINEユーザーに向けて一斉配信や1to1でのチャット、クーポンの配布等が可能で、おもにBtoCでのマーケティングに効果を発揮するものです。
今回は、LINE公式アカウントをビジネスで活用する際のメリットや機能一覧、料金、開設方法をお伝えしていきます。
目次
BtoCビジネス向けの「LINE公式アカウント」について
LINEでは個人用のLINEアカウントのほかに、ビジネス用の「LINE公式アカウント」が開設可能です。
具体的な機能としては
- 友だち(つながったユーザー)を対象とした一斉配信
- 友だちと1対1でのチャット・音声通話・ビデオ通話
- LINE上での電子クーポンやスタンプカードの提供
- LINE上でのアンケートの実施
などがあります。
以前は同等の機能をもつサービスとして「LINE@」「LINEカスタマーコネクト」「LINEビジネスコネクト」「API型公式アカウント」が存在しましたが、現在では全てがLINE公式アカウントに統合・一本化されました。
ビジネス用「LINE公式アカウント」のメリット
まずは、ビジネスにLINE公式アカウントを活用するメリットを5点紹介します。
利用者が多く、友だち集めが比較的容易
LINE公式アカウントなら、全てのLINEユーザーを友だちにするチャンスが得られます。
LINEユーザーは日本国内での総数にして約9,700万人、つまり人口の7割以上にあたります。そのためLINE公式アカウントは、他のSNSやネイティブアプリと比べて、つながる機会に恵まれているといえるでしょう。
また、ユーザー側からみて友だち追加のハードルが低いというのも重要です。LINEアプリがあれば、QRコードの読み取りだけで友だち追加が完了します。追加の会員登録やアプリダウンロードは不要で、友だち追加が簡単にできる点からも導入しやすく活用しやすいツールです。
メール / アプリ比で優れたメッセージ到達率
LINE公式アカウントでは、獲得した友だちを対象にメッセージ配信ができます。全ユーザー対象の一斉配信のほか、ユーザーを絞り込んでの配信や自動配信まで行えます。
このメッセージ配信の到達率は下表のとおりで、メールマガジンやネイティブアプリと比べても高いことがわかります。特に、メールマガジンとの差は歴然で、LINE公式アカウントのほうが開封率6〜20倍と圧倒的です。
LINE公式アカウント |
メールマガジン |
自社専用のネイティブアプリ |
|
---|---|---|---|
メッセージの開封率 |
約60% |
約3〜10% |
約15% |
獲得ユーザーの関心・温度感 |
低 |
中 |
高 |
長所 |
登録が容易で、メッセージ着信時にはプッシュ通知が出せる |
コストパフォーマンスに優れ、長文のコンテンツが送りやすい |
ホーム画面で自社ブランドの訴求ができ、メッセージ着信時にはプッシュ通知が出せる |
短所 |
一度ブロックされてしまうと、メッセージが届かない(後述) |
他の着信に埋もれたり迷惑メールフォルダに格納されたりと、メッセージが無視されやすい |
追加のアプリダウンロードや会員登録が必要で、ユーザー獲得が難しい |
また、他2つの媒体に比べて、自社ブランドへの興味関心が薄いユーザーともつながれるというのもポイントの1つです。より多くのユーザーにより高頻度でメッセージが届くため、効率的に顧客育成が図れることが期待できます。
一斉配信と1to1のチャットを両立可
LINE公式アカウントでは、複数のユーザーを対象に一斉で行うメッセージ配信のほかに、個別のユーザーを対象に1対1でのコミュニケーションをとる「チャット」も利用可能です。リアルタイムでのメッセージのやりとりや音声通話、ビデオ通話等の密なコミュニケーションが図れます。
その他マーケティング向けの機能が豊富
LINE公式アカウントはメッセージ配信やチャットのほかにもビジネス、特にBtoCマーケティングに役立つ機能を多数備えています。なかでも代表的な機能は以下のとおりで、単なる情報発信にとどまらない顧客育成が目指せます。
- クーポン:LINEアプリ上から割引券や無料引換券、抽選券等が提供できる。
- ショップカード:LINEアプリ上からスタンプカードが提供可能。貯めたスタンプはクーポンと交換できるため、リピート率UPが狙える。
- リッチメニュー:トークルーム下部にタイル表示の固定メニューが掲載可。自社WebサイトやECにユーザーが誘導できる
無料から導入可
LINE公式アカウントでは、メッセージ配信の頻度に応じて、無料プランと有料プランとが用意されています。ただ、使える機能自体は無料プランも有料プランも同じです。そのため、お試し感覚で無料からでも気軽にビジネスへの導入ができます。
ビジネス用「LINE公式アカウント」の注意点
単なるコミュニケーション手段にとどまらないメリットをもつLINE公式アカウントですが、ビジネスで活用する上での注意点も3つあります。
非LINEユーザーへのアプローチは不可
LINE公式アカウント単体では、LINEを利用していない層に対してのアプローチができません。
日本国内については人口の7割以上がLINEを利用しているため問題ありませんが、海外からの観光客に対しては別途、LINEに代わるコミュニケーション手段が必要です。
※LINEが普及している台湾・タイ・インドネシアからの観光客については例外。国内からの観光客と同様に、LINE公式でのアプローチが可能です。
ブロックされた相手へのアプローチも不可
先述のとおり、LINE公式アカウントではメッセージ配信やチャットを通して、友だちとのコミュニケーションが効率よく行えます。
ただ、友だち側からLINE公式アカウントをブロックされてしまった場合は、その限りではありません。ブロック中はメッセージ配信やチャットが一切届かなくなってしまいます。しかも、ブロック率の相場が30%と高く、配信の頻度や内容が友だちに合わないとすぐにブロックが起きてしまうのです。
※LINE公式アカウントのブロックを防ぐ手段としては、後述の「LINE拡張ツール」があります。LINE公式アカウントのビジネスへの本格導入をお考えの方はぜひ、こちらもご検討ください。
一斉配信にはコストが発生
他のSNSやメールマガジンとは違い、LINE公式アカウントではメッセージ配信に対してコストが発生します。
メッセージ配信の通数が200件以内の場合は無料ですが、それ以降は定額制有料プランへの加入が必須です。さらに、30,000通を超えてメッセージ配信を行う場合は、従量課金制で別途料金が上乗せされます。コストを抑えて不特定多数に情報発信をしたい場合は、SNSやWebサイトの併用が欠かせません。
ビジネス用「LINE公式アカウント」の機能早見表
LINE公式アカウントは、BtoCビジネスに役立つ機能を多数備えています。うまく活用できれば、集客・顧客育成に役立てられるかもしれません。そんな各機能の概要は、以下の早見表をご覧ください。
LINE公式の機能 |
できること |
---|---|
メッセージ配信 |
文章・画像・動画・クーポン・バナー…etc.での一斉配信 |
絞り込み配信 |
属性やオーディエンス(ユーザーの行動)等の条件で対象を絞った配信 |
ステップ配信 |
友だち追加からの経過日数や流入経路による条件分岐を含む、シナリオ型の自動配信 |
応答メッセージ |
ユーザーからのメッセージに対しての自動返答 |
あいさつメッセージ |
友だち追加時&ブロック解除時に自動送信されるメッセージの設定 |
プロフィール |
LINE内&Webブラウザ上で表示されるアカウントプロフィールの設定 |
チャット |
・ユーザーと1to1でのチャット&無料通話 |
クーポン |
・LINEアプリ上から使える電子クーポンの発行 |
ショップカード |
・LINEアプリ上から使えるスタンプカードの配布とインセンティブの設定 |
リッチメニュー |
トークルーム下部への固定メニューの表示(クーポンや各種URLが掲載可) |
リサーチ |
ユーザー向けアンケートの作成・配信 |
各種分析 |
友だち追加数やメッセージ開封率、クーポン利用状況の分析 |
グループ |
複数アカウントの一括運用(最大5,000アカウントまで) |
友だち追加広告 |
LINE VOOM・LINE NEWS・トークリストへのバナー広告の出稿 |
LINE VOOM |
・LINE VOOM(旧・タイムライン)への配信の同時投稿 |
LINEで予約 |
飲食店向け予約サービスとの連携 |
Messaging API |
ボットの実装や各種機能の拡張 |
各機能の詳細については、以下の記事で詳しく解説しております。あわせてご確認ください。
これだけ覚えればOK! LINE公式アカウントでできること厳選12機能
ビジネス用「LINE公式アカウント」の料金プラン
LINE公式アカウントでは、無料プラン1種と有料プラン2種で計3種類の料金プランが用意されています。どの料金プランでも使える機能自体は同じで、無料からでも気軽にビジネス活用が可能です。
ただ、各プランでは「毎月無料で配信できるメッセージ通数」と「追加メッセージの可否」が異なります。詳細は下表のとおりで、多数の顧客を抱えている場合や配信に力を入れたい場合は有料プランへの加入がおすすめです。
コミュニケーションプラン |
ライトプラン |
スタンダードプラン |
|
---|---|---|---|
月額固定費 |
無料 |
5,000円 |
15,000円 |
無料メッセージ通数 |
200通 |
5,000通 |
30,000通 |
追加メッセージの可否・料金 |
不可 |
不可 |
〜3円/通 |
備考 |
【1通の基準】 【メッセージ通数にカウントされるもの】 【メッセージ通数にカウントされないもの】 |
参考資料:LINE公式アカウント 料金プラン
ビジネス用「LINE公式アカウント」の種類
LINE公式アカウントでは、通常の「未認証アカウント(灰色バッジ)」のほかに「認証済アカウント(青色バッジ)」という区分が設けられています。こちらはLINEヤフー株式会社の審査に通過したアカウントで、「リサーチでの自由回答の選択」や「友だち追加広告」等の機能が解禁されます。審査はアカウント開設時でも開設後でも申請できますので、友だち獲得の機会を増やしたい場合はぜひ、お申し込みください。
ビジネス用「LINE公式アカウント」の開設方法
ここからは、ビジネス用のLINE公式アカウントを開設・作成する手順を、実際の画面の様子とともにお伝えしていきます。以下、メールアドレスの登録から、順を追ってみていきましょう。
メールアドレス登録〜パスワード設定の手順
LINE公式アカウントの開設には、LINE Business IDが必要です。
LINE Business IDの登録画面にアクセスすると、既存の個人用LINEアカウントまたはメールアドレスでLINE Business IDが取得できます。(下図)今回は、「メールアドレスで登録」での登録方法を説明します。
ボタンをクリックすると、メールアドレス入力用のテキストボックスが表示されます。(下図)こちらに任意のメールアドレスを入力して、「登録用のリンクを送信」ボタンをクリックします。
メールアドレスの入力を済ませた後にメールボックスを開くと、LINE Business ID登録用のリンクがメールで送られてきます。当該メールを開封して、「登録画面に進む」をクリックしてみましょう。
下図のように、LINE Business IDのユーザー名&パスワード登録画面に遷移します。ここで、任意の名前とパスワードを入力して「私はロボットではありません」の認証を済ませ登録をクリックします。
登録をクリックすると、以下の最終確認画面が表示されます。ここで名前とメールアドレスに不備がなければ「登録」をクリックしてください。
登録が完了後は、SMS認証画面が表示されます。ここでは携帯電話の番号を入力して「SMSを送信」ボタンをクリックしてください。(SMS以外に音声通話での認証番号の受け取りも可能です)
すると、お手持ちの携帯電話にSMSで6桁の認証番号が送信されるので、この番号を以下の認証画面に入力後、「確認する」ボタンをクリックすれば、LINE Business IDの登録が完了します。
アカウント設定〜完成の手順
LINE Business IDの登録完了後は、以下の画面が表示されます。ここからはLINE公式アカウントの作成に移ります。まずは、「ログイン」ボタンをクリックします。
すると以下のとおり、LINE公式アカウントの作成画面が表示されます。ここに、アカウント名(≠ユーザー名)・事業内容・運用目的などを入力して、「確認」ボタンをクリックします。
続いて、以下の確認画面が表示されますので、設定内容に不備がなければ「完了」をクリックしましょう。
すると以下のとおり、LINE公式アカウントの作成が完了します。「認証済アカウント」へのグレードアップをご希望の方は、ここで応募も済ませましょう。
※認証済みアカウントについては
【意外なメリットも】LINE公式「認証済アカウント」の特典・審査基準・申請方法を紹介
をご参照ください。
完成したLINE公式アカウントへは管理画面からログイン・アクセスができます。
PCブラウザ版の「LINE Official Account Manager」にアクセスしてみると、以下のようなホーム画面が表示されます。ここから各種メッセージ配信やその他機能が使えますので、ぜひビジネスにお役立てください。
ビジネスへの本格導入には「LINE拡張ツール」もおすすめ
LINE公式アカウントは単体での運用のほかに、ベンダー各社がリリースしている「LINE拡張ツール」と併せての運用も可能です。
このLINE拡張ツールは、LINE公式アカウントに+αの機能を追加してくれる外付けのSaaS。その機能はプロダクトによってまちまちですが、例えば以下のようなことが可能になります。ブロック率の軽減や運用の効率化が目指せますので、LINE公式アカウントをビジネスに本格導入したい場合はLINE拡張ツールがおすすめです。
- 属性・ニーズを細かく反映したセグメント配信
- ユーザー別でのリッチメニューの出し分け
- ユーザー一人ひとりを識別しての分析
- 大人数での運用に適した管理画面
- ユーザー参加型のキャンペーンの提供
…etc.
なお、弊社・株式会社ソニックムーブからもLINE拡張ツール「COMSBI」をリリースしております。こちらは、複数店舗での運用を助ける管理画面やユーザー一人ひとりにフォーカスした分析が可能です。
拡張ツールの詳細や選び方については、以下の記事で詳しく解説しております。あわせてご確認ください。
【前編】LINE拡張ツールでマーケティング効果最大化!ツールの機能・選び方を紹介
まとめ
今回は、ビジネス用のLINEアカウント「LINE公式アカウント」について、メリット・料金・機能などを紹介しました。このLINE公式アカウントのメリットは以下のとおりで、おもにBtoCビジネスでの集客・顧客育成に活用いただけます。
- 利用者が多く、友だち集めが比較的容易
- メール / アプリ比で優れたメッセージ到達率
- 一斉配信と1to1のチャットを両立可
- その他マーケティング向けの機能が豊富
- 無料からでも導入可
また、LINE公式アカウントは「LINE拡張ツール」との併用により、+αの機能も実装可能です。こちらはベンダー各社から、様々な機能をもったプロダクトが登場していますが、弊社・株式会社ソニックムーブも多店舗展開に最適な「COMSBI」をリリースしております。LINE公式アカウントの本格導入をお考えの方はぜひ一度、お気軽にご相談ください。