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チャットボットの活用で利用者と企業がWin-Winに
LINEで利用できるサービスの一つに「チャットボット」があります。チャットボットとは、ユーザーの問い合わせに対して対応する仕組みのことです。
チャットボットの中にはAIによって自動的に返信されるものもありますが、現時点では問い合わせの内容に応じて人間が返信する場合もあります。
チャットボットサービスを利用することによって、ユーザーとしては利便性がアップするほか、企業としては作業の効率化と売上の向上が期待できます。
ドミノ・ピザ
宅配ピザチェーン店を世界展開する「ドミノ・ピザ」は、アメリカでFacebookメッセンジャーを活用し、チャットボットでメニューを注文できるサービスを提供しましたが、日本ではLINEを利用してピザの注文ができるサービスを展開しています。
LINEでピザを注文する場合には、ドミノ・ピザの公式アカウントを友だち登録して、トーク画面で会員登録を行います。
会員登録が済んだら利用者とドミノ・ピザとの間でコミュニケーションをとれるようにするため「お客様情報とコネクト」を選び、メールアドレスとパスワードを入力します。
なお、宅配先の住所はLINEの位置情報サービスを利用して調べるため、住所の入力は不要です。ただし、建物名や部屋番号など、細かい住所の情報は別途入力します。
LINEではピザの種類とサイズ、生地のほか、サイドメニューも選べます。注文内容を確認し、問題がなければ位置情報を登録して宅配を依頼します。配達の時間帯、支払方法もLINE上で選ぶことが可能です。
LINEを普段から使っている人にとっては、入力が簡単に感じられるため、ピザを気軽に注文できるメリットがあります。
また、店舗の側としては注文内容がLINEのトーク上に残っているため、受注ミスを防げる点がメリットとなり、作業効率がアップすることから売上の増加も見込めます。
ヤマト運輸
LINEのチャットボットサービスは宅配便大手のヤマト運輸も導入しています。目的は業務の効率化を利便性の向上を図ることです。
ヤマト運輸のLINE公式アカウントに友だち登録すると利用できるサービスには以下のものがあります。
・配達状況の確認、再配達依頼
・通知機能
・受け取り日時、場所変更
・荷物の発送
上記のサービスを全てLINEで行えるため、いつでもどこでもヤマト運輸のサービスを利用できます。
荷物が届く前には事前に通知が届くほか、荷物の配達時に不在だった場合にはスマホに不在通知が届きます。そして、LINEを利用して再配達の日時や場所も変更することが可能です。
もし、届くはずの荷物がなかなか届かないときも、LINEで問い合わせれば、いつ頃届くかを知ることができます。
ヤマト運輸でLINEを活用することによって、利用者の利便性が高まるだけでなく、ドライバーとしても配送業務の効率性が高まります。
そのほか、ヤマト運輸ならではのチャットボットの特徴としては、利用者が語尾に「にゃー」や「にゃん」などをつけてネコの言葉でトークすると、チャットボットも「にゃー」などとネコの言葉で返信してくれることです。
ネコの言葉を使ってトークしていると、なんとなく気持ちも和むのではないでしょうか。
マクドナルド
多くの企業では、LINE公式アカウントを販促活動に利用していますが、ファーストフード店を展開するマクドナルドはアルバイト募集専用のLINE公式アカウントを開設しました。
マクドナルドでは全国で多くのクルーが活躍していますが、学生が多くを占めていることもあり、卒業を機に多くのクルーの入れ替わりが発生します。
そのため、新たなクルーを募集する手間が発生しますが、アルバイト募集専用のLINE公式アカウントはその手間を極力省くことを目的として導入されました。
アルバイトを希望する場合は、LINE公式アカウントに友だち登録したあと、トーク上で「バイト応募する」をタップし、働きたい店舗を決めて、名前と連絡先、顔写真を送ります。
これによって、履歴書を送らなくてもアルバイトの応募が終了するので、手軽に応募できる形となります。
マクドナルドによると、アルバイト募集専用のLINE公式アカウントを開設したことによってアルバイトの応募は30%増加したとのことで、公式アカウントの効果は十分なものといえるでしょう。
米マクドナルド
米マクドナルドは2019年にニューヨークのハイテク企業「ダイナミック・イールド」を買収したほか、ニュージーランドのモバイルプラットフォーム開発企業の「プレクシャー」にも投資しています。
米マクドナルドがこれらの企業に投資する目的は、ハイテク技術の活用による経営の合理化であり、具体的な内容としては「パーソナライゼーション」、「モバイル」、「無人化」です。
パーソナライゼーションとは個々の顧客の満足度を高める意味合いがありますが、それを可能とするのが顧客の嗜好などを収拾した膨大なデータです。
これを活用することによって、顧客が注文するとき、スマホの画面にそれぞれの顧客の好みに応じたおすすめ商品を表示して売上アップを図る方法が考えられます。
また、モバイルを導入することによって、注文がWeb上で行われる機会が増えるため、クルーの人員を少なくしても店舗を運営することが可能となります。
さらに、店舗のAI化を推進することによって無人化の実現に期待がかかります。
AI化が実現すれば、モバイルによって受けた注文に対し、顧客は何分後に到着するか、できたてを提供するにはいつ頃から作り始めれば良いかが導き出せます。
そのほか、本人確認をAIカメラが行い、ドライブスルーに並ぶ必要性が少なくなるため、顧客としては待ち時間が減り、店舗としては店舗運営の効率化が図られます。
BMWの自動車ブランド「MINI」
「MINI」とは、ドイツの自動車会社「BMW」の自動車ブランドのことです。
BMWが取り扱う車は高級車であり、ユーザーとしてはディーラーに足を運ぼうとしても敷居が高く感じてしまいますが、販売台数を伸ばしたいディーラーにとっては敷居が高いイメージがネックとなります。
それを解消するためにビー・エム・ダブリュー株式会社はディーラーに足を運ぶ敷居を下げ、ユーザーのアクション誘引を実現するためにLINE公式アカウントを活用しています。
LINEの特徴は幅広い世代に利用されていることです。同社は30代~50代の層にアプローチする戦略を考えていましたが、LINEはこの世代の層の利用者が多く、ターゲットとしている層と合致しています。
また、ユーザーがLINEの利用に慣れていることもあり、同社が情報を発信すると、発信した内容についての反応が高いことも特徴的です。
テレビCMなど、一方的な発信の場合はユーザーの反応をつかむことが難しいですが、SNSを活用するメリットはユーザーの反応をつかめることであり、情報を発信する側としても手応えを感じられます。
さらに、LINE公式アカウントを活用することによって、ディーラーをより身近に感じてもらうことも可能となります。
試乗やカタログの申し込みもLINEでできますが、チャットボットとトークしていることによってユーザーとしては友だちとトークしているように感じられ、ディーラーの敷居が引き下げる効果が期待できます。
中古車検索サイト「グーネット」
中古車検索サイトの「グーネット」を運営するプロトコーポレーションは、グーネットの販売店でLINEユーザーが利用できるチャットボットのサービスを提供しています。これは、グーネットとLINEが業務提携したことにより実現したものです。
LINEにはグーネットの公式アカウントが開設されており、グーネットに加盟する中古車販売店ではLINEを活用することにより中古車販売の手続きがスムーズに行われるようになりました。
LINEを通じて中古車の問い合わせをする場合、名前や住所などを入力しなくても「LINE問い合わせ」のボタンを押すだけであるため、問い合わせのハードルが下がり、問い合わせ件数の増加が見込めます。
また、中古車販売店の側としては中古車の説明をLINE上で行えるため、作業効率の向上にもつなげられます。
中古車を購入する場合は各種の問い合わせや手続きが発生しますが、LINEを活用することによって問い合わせや手続きの作業が軽減されることから、中古車の販売台数が増えることが期待されます。
日本郵便
日本郵便は、LINE公式アカウント「ぽすくま」を提供しており、ユーザーの利便性を高めています。なお、「ぽすくま」とは同社のキャラクターのことであり、LINE公式アカウントにも登場しています。
「ぽすくま」で利用できるサービスには以下のものがあります。
・荷物の追跡
・再配達の申し込み
・集荷の申し込み
・配達のお知らせ
・転居届の受付
・切手の作成
これらのサービスを利用するためには、日本郵便のLINE公式アカウント「ぽすくま」の友だち登録をします。その後、日本郵便が提供するさまざまなサービスを利用するための「ゆうびんID」とLINE公式アカウントを連携させることで「ぽすくま」が提供するサービスを利用できるようになります。
「ぽすくま」では、荷物の追跡や再配達の申し込み、配達の通知が届き、ユーザーの手間を大幅に削減できるほか、郵便局ならではのサービスとして転居届の受付や切手の作成も申し込めます。
切手の作成ではLINEのトーク写真を利用してオリジナルの切手を作ることができるので、思い出や記念の一日を記念切手のように残しておくこともできます。
まとめ
現在ではスマートフォンを使ってあらゆるサービスを受けられるようになりましたが、中でもLINEは広く利用されており、なおかつ操作性が良いためにビジネスシーンの利用においても効率化が図られます。
企業のサービスを提供する場合にはチャットボットサービスを導入し、ユーザーの問い合わせに対しても効率化を図り、売上のアップを目指していきましょう。
(画像はO-DANより)