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【イベントレポート】ECエバンジェリスト川添隆とベンダー3社で語る『コロナと小売業』

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 2020年5月22日(金)に、ライブ配信形式で開催されたオンラインセミナー
『小売業はコロナとどう向き合うべきか〜改めて考えたい OMOによるユーザー体験設計〜』

ECエバンジェリストの川添隆氏をモデレーターとして招き、弊社ソニックムーブ社の経営企画室長 服部と、インサイトコア社の代表取締役社長 竹村氏、ロコガイド社のマーケティング部長の梅沢氏と、専門誌『食品商業』の元編集長の竹下氏の合計5名で、コロナ感染拡大後の小売業の現状と、今後の顧客動向の変化や対策について議論を行うトークセッションを開催しました。

100名近くの方にご視聴いただき、参加者の方の属性は、おおよそ、事業者:ベンダーで4:6の比率でした。店舗を運営されている事業者側だけでなく、それを支援されている事業者の方にも多くご参加をいただきました。

今回は、本オンラインセミナーのレポートをお届けします。

 

消費者の節約志向は高まっている

冒頭、株式会社ロコガイドの梅沢氏より、チラシメディア『トクバイ』の利用者(消費者、事業者)に回答してもらったアンケートデータについて解説がありました。

①生活者に意識変化はあるか?

②小売企業はどんな顧客対応をしているのか?

③生活者と小売企業担当者にGAPはあるのか?

(ロコガイド梅沢、以下 梅沢)まず①のコロナ感染拡大後の消費者の意識変化だが、コロナで生じた先行き不安によって生活者の節約意識は、食品、生活用品に至るまで高まっている、ということが分った。「通信」以外の多くの費目で半数近い人が「節約意識が高まった」と回答。その理由として最も多かったのは「先行きが不安だから」で、6割近い人が現状に不安を感じていることが伺える。


(株式会社ロコガイド  2020.04.14プレスリリース参照)

②の事業者側の顧客対応としては、コロナ感染拡大後にチラシの自粛要請があった後、チラシ自体は配布していないものの、特売価格での商品提供をしている会社も多くあるという結果となった。

また、③の生活者と小売業担当者とのGAPについては、消費者側からは、「短縮後の営業時間を知りたい」「チラシで商品情報を把握して、店内ではパッと買物をすませたい」とリアルタイムに正確な情報を知りたいニーズが多くあった一方で、店舗側からは「営業時間を短縮するなとクレームがあった」「在庫切れしているにも関わらず、マスクを販売しろと言われる」などと、疲弊の声が多く上がっていた。

 

主語はコロナではなくお客様

(ECエバンジェリスト川添、以下 川添)
オールユアーズの木村さんが「主語はコロナではなくお客様」と言っていたが、(店舗側はコロナ感染対策振り回されるだけでなく)緊急自体宣言解除後に、お客様をどうお迎えし、コミュニケーションを取っていくかについて考えることが重要である。

緊急事態宣言後も、すぐには顧客は戻らないだろうと考えており、そのため、顧客情報を獲得し、オンラインでの接点をどう作っていくかが重要になってくる。

一方、コロナ前後でも変わらないこともあるはずなので、その変わらない点を見極めることも重要である。

 

すぐには戻らない人出

(ソニックムーブ服部、以下 服部)
5月14日に、緊急事態宣言を39県で解除することが公表された。下記の図は、Agoop社が提供している主要都市の人出のデータを元に、この39県緊急事態宣言前後の人出の推移をプロットしたものであるが、緊急事態宣言の解除後も、すぐには人出が戻っていないことが分かる。(赤文字、49%が解除後の人出のデータ)

休業要請が解除された施設や、営業時間短縮が緩和された飲食店などでもすぐには人出が戻っていなかったり、海外の動向を見てもロックダウン解除後すぐに人出が戻っていないというニュースを見たりする。

 
人出データ
 
(川添)
残りの都道府県においても、そろそろ緊急事態宣言が解除されるということだが、販促を強化したいという相談はあるか。
 
(梅沢)
直近でもクライアントと打ち合わせを下が、例えば、カー用品の販売店からそろそろキャンペーンをやっていきたいという相談をもらっており、急ピッチでキャンペーンを仕込んでいかないといけない状況でもある。
 
(インサイトコア竹村、以下 竹村)
弊社は、店舗のサブスクポータルメディア『MONSTAR PASS』をやっているが、3〜5月の期間も問い合わせは多くあり、ある種、準備期間として、このコロナ期間を捉えている企業も多いと感じる。『MONSTAR PASS』の利用企業は飲食店が多いが、直近ではスーパーマーケットなど、流通小売からも問い合わせをもらっている。
 
(服部)
弊社はスーパーマーケットや飲食店に対してサービス提供をしているが、店舗からは相談はもらっているものの、やはりコロナですぐに動ける訳ではないため、仕込みの期間という印象。店舗のオペレーションを回すことにリソースが割かれており、新規の集客や販促を行う余裕がないというのが正直なところ。
 
(川添)
小売業の状況はどうか。
 
(ロコガイド竹下、以下 竹下)
小売業は全体的に厳しい状況にある。特に百貨店は閉店していたことも理由であるが、4月は売上が前年比で7割ほど落ちている。
お金をセーブしていることもあるが、なかなか戻っていかないのではないかと思われる。
一方で、コロナで需要が伸びていたスーパーマーケットなどは、5月に入ってから徐々に需要が落ち着きつつあり、コロナ前と同様、集客に力を入れていく必要がありそうだ。
 
 

コロナ禍でも売上を伸ばしている企業の特徴は何か

(川添)
ワークマンや、西松屋などは売上が前年比で100%を超えているが、このコロナ状況下でも上手く売上を伸ばせている企業はあるか?
 
(梅沢)
サツドラが情報発信を上手にやっている。コロナの状況下において、トクバイの混雑ランプ機能を使ってもらって、感染リスクを抑えるために来店の分散を促している。混雑ランプは、お店の混雑具合をお店発信で伝えることができる機能であり、今後の小売業においては、この混雑情報が重要担ってくると思う。
 
(服部)
今、消費者が買物をする時、コロナの感染リスクを抑えるために、店舗に行くより自宅で受け取りたいと考えるし、店舗に行ったとしても自分で購入するのではなく、タッチアンドゴーやドライブスルーなどが好まれやすい。例えば、2020年4月の既存店売上が前年対比で向上した日本マクドナルドは、ドライブスルーやモバイルオーダー、UberEatsなどの外部デリバリーサービスなどをうまく活用して、様々な消費者のニーズに応えている。メディアも、自社HP、アプリ、SNSなどを通して、リアルタイムに正確な情報を届けることを実践しており、コロナ前からこうした取り組みをしていた企業の努力が功を奏していると考える。
 
モノの流通
 
(竹村)
桂花ラーメンさんは、コロナ前からではあるが、SNSの運用をきめ細やかにやってきた企業で、ユーザーのとのコミュニケーションを重視してTwitterの運用を行っている。直近でも、Zoomのバーチャル背景をユーザーにプレゼントしたり、Eコマースに関する情報発信をしたりして、いつも以上に消費者とのタッチポイント確保に注力したりしていた。
 
(川添)
4月頃だと、消費者心理がややセンシティブになっていた中で、SNSの運用も難しい状況であったと思うが、桂花ラーメンが運用をできていた理由は何か。
 
(竹村)
普段から告知媒体としてよりも、例えばTwitterで自社に関連するつぶやきしてくれている人にリプライをするなどして緩やかな繋がりを保っていたことが大きいのではないかと思う。
 
(川添)
コロナで対応が遅れた企業の特徴はあるか。
 
(竹村)
今回は、直面する事象が初めてのケースが多く、例えばSNSであれば、日頃から運用していない企業だと炎上するリスクを恐れて運用しないなどの選択をとる企業もあった。一方でスピード感を持って対応できた企業はうまく行っている印象がある。
 
 

小売業はどのようにリピーターを増やしていくべきか

(川添)
コロナを経て、小売業はデジタルトランスフォーメーションをせざるを得ない局面にきている。小売業は、今まで新規顧客の獲得にフォーカスをしてきた業種であるが、今後はリピーター獲得なども重要になってくると考えているが、各社どのような支援をしているのか。
 
(竹村)
弊社では、店舗向けのサブスクサービスを提供しているが、例えば、金の蔵だとサブスクサービスを導入することで来店回数が大きく伸びた事例がある。サブスクユーザーのリピート回数はある程度見えているため、サブスクユーザーが増加すれば、収益見込みが立てやすくなる。LTVを伸ばすために、ロイヤルカスタマー育成をする支援などもさせていただいている。
 
(川添)
ソニックムーブ社は、LINEでのCRMを支援しているが、アプリとLINEの位置付けについてはどのように考えているか。
 
(服部)
ロイヤルカスタマーの囲い込みに適しているアプリに対して、LINEはライトユーザーの定着に有効な手段になると考えている。LINEは国内8000万人以上のユーザーが使っているプラットフォームで利用時の学習コストを低く抑えることができるため、CRMの入り口としては非常に良い。弊社では「COMSBI」という mini app(ミリアプリ)を提供しており、LINE特有の使い勝手を保ちながらスマホアプリのような便利な機能をアドオンして利用することも可能。例えば、LINEやポイントカードやモバイルオーダーの機能なども利用することができる。
 
(川添)
「COMSBI」の導入事例としてはどのようなものがあるのか。
 
(服部)
ECと店舗を持っている企業でOMO目的で利用してもらっているケースがある。ECを持っているカフェでは、ECと店舗で、一つのIDで購買履歴を管理しており、例えばECでの購買履歴を見て、店舗で店員さんが接客を変えているケースなどがある。ECと店舗をまたいで、利用すれば利用するほど自分にあった飲み物がオススメされるようになる仕組みだ。
 
 

LINEの友達、アプリの利用者を増やすには店頭でのお声かけが重要

(川添)
LINEもアプリも、友達を増やすのは難しいと感じるが、うまくLINEの獲得訴求をしている企業はあるか。
 
(服部)
露出を増やしている企業は比較的獲得ができている。地道ではあるが、HPに友達追加の導線を作ったり、店舗にポスターを設けたり、一番は店舗で店員さんがお客さんに声をかけることが重要だと考える。先ほど事例として出したカフェでは、お会計時に店員さんが声掛けをすることで大きく友達数が伸びた。
 
(川添)
アプリダウンロード促進をうまくやっている企業にはどのような特徴があるか。
 
(竹村)
店頭でのお声かけを徹底している企業がうまく利用者数を伸ばしており、もっともユーザー獲得訴求でリーチが効く媒体は店舗そのものだと考えている。声掛けが徹底されている企業は、評価基準の中に店頭での声掛けが組み込まれている。コロナ感染拡大後については、改めて獲得手段を考え直す必要があると考えており、今後はSNSなどが重要になってくるのではないかと考えており、店舗とのハイブリットで戦略を考えていく必要がある。
 
 

店舗での発信はどう変わっていくべきか

(川添)
コロナを経て、店舗での情報発信が変わっていく必要があると考えているが、店舗はどのように対応するべきなのか。

(梅沢)
やはり現場のリアルな情報が、ユーザーにとって興味深い情報となり得ると感じる。トクバイを利用しているスーパーマーケットなどでは、毎朝現場発信でオススメ商品などを投稿しているが、ユーザーからの反応も良い。デジタルの情報だけではなく、手書きのポップの情報を上げている企業がある。

(竹下)
商品も多種多様になり、説明が必要な複雑な商品も増えてきている中では、現場の負荷を低減するような形でデジタル活用を進めていくことが重要であると考えている。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

コロナを経て、小売業は非常に複雑かつ、難易度が高い課題に直面しています。

2020年5月25日、全国的に緊急事態宣言が解除され、世の中はアフターコロナに向けて動き出しています。ソニックムーブでは、小売業やEコマースを中心に企業のデジタルフォーメーションを支援させていただいております。LINE活用、SNS活用、店舗集客などでお困りの点がありましたら、お気軽にご相談くださいませ。

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