ECサイトなどで商品の購入ができるようになった今、顧客の購買行動が店舗からオンラインへと移り始めています。
顧客の購買行動がオンラインへと完全に移行してはいませんが、「かつて実店舗で商品を購入していた顧客がリピートしてくれない」という事態は既に起きているかもしれません。
店舗を構える企業や店舗販促担当者にとって、「実店舗での顧客獲得」はマーケティング戦略の重要なウエイトを占めているとあって見過ごせない事態といえるでしょう。
今回は実店舗への集客を目的としたマーケティング施策「O2O」について紹介し、大企業がこぞって取り入れるO2O施策が様々な規模のビジネスで導入可能であることをお伝えしていきます。
まずは、O2O施策とは何かを見ていきましょう。
目次
マーケティング施策「O2O」とは?
O2Oは、Online to Offlineの略称で、顧客をオンラインからオフライン(実店舗)へと誘導するマーケティング施策のことをいいます。
大手アパレルメーカーなどがLINEやECサイトなどで「実店舗だけで使用できるクーポン」を発行していたり、大手ハンバーガーチェーンが専用アプリによってクーポン発行をしていたりすることも「O2O施策」と考えることができます。
なぜO2Oをマーケティング施策とするのか
従来のマーケティングでは「顧客が店舗に来ること」が前提で、そこに至るまでの導線作りをしてあげれば良かったかもしれません。
しかしオンラインで新しい情報を得ることができ、また実店舗へ足を運ばなくても商品の購入ができるようになった現在では、実店舗に足を運ぶことは選択肢の1つとなってしまっています。
顧客が実店舗に足を運ぶ「メリット」や「必要性」がないと考えれば、実店舗に足を運ばなくなってしまうのが現状なのです。
とはいえ、実店舗で手に取ることによって、また体験することによってしか得られない購買体験もある、と考えるのが店舗で働くスタッフの正直な気持ちでしょう。
特にレストランといった食事を提供する店舗では、顧客の来店はサービス提供の必須条件です。
実店舗でのサービス提供に自信があったとしても、顧客が店舗に戻ってくるためには「メリット」や「必要性」を感じてもらう必要があります。
そこで「クーポン発行」などのO2O施策を活用し、リピーターや新規の顧客獲得を目指すというわけです。
O2Oが注目される背景
O2Oが注目されているのは、顧客の購買行動が多極化(オンライン化)していることにあります。
誰もが持ち歩いているスマートフォンはあらゆる情報との接点となっており、顧客が購入(コンバージョン)に至るまでの行動が予測しづらい状況を生み出すきっかけとなりました。
企業やサービスを提供する側にとって、顧客の購買行動が把握できないことは次のマーケティング施策が打ちづらくなることを意味しており、顧客ニーズを無視したマーケティングを行ってしまう可能性があるのです。
O2O施策はオンライン上の顧客を実店舗へと行動させます。そうすることにより、打ち出したマーケティング施策の効果を「クーポン利用数」などで手軽に測定できるため、継続的な効果検証がしやすいといえます。
O2O施策が注目されるのは、予測のできない顧客の購買行動のデータ化が容易なため注目を集めているといえるでしょう。
マーケティング施策「O2O」の取り入れ方
予測が難しい顧客の購買行動を把握するために用いるマーケティング施策「O2O」を店舗で取り入れる方法について紹介していきます。
中には導入ハードルが高い施策もあるため、それぞれのO2O施策を比較しながら取り入れてみると良いでしょう。
アプリを使ったO2O施策
顧客をオンラインからオフラインである実店舗へと足を運んでもらう方法は沢山あります。まずはアプリを使ったO2O施策から見ていきましょう。
LINE公式アカウント
大企業はもちろんのこと、小規模な店舗運営者向けにもサービスを展開していることで有名です。
国内月間利用者数が8,200万人以上のLINEアプリを基盤としたサービスであり、顧客と友だちになることでメッセージの送受信が可能になります。
アカウントと友だちになったユーザーの半数近くがクーポン利用やキャンペーン応募などポジティブなアクションを行っており、お客様と深いつながりを実現するソリューションとしてご活用いただけます。(LINE for Businessより)
このデータからも実店舗への誘導が期待できるのではないでしょうか。
フリープランを選択すれば無料でサービスを始めることができるため、O2O施策をすぐに取り入れたい店舗販促担当者におすすめです。
店舗アプリ
「店舗アプリ」ではお店の公式アプリをオリジナルデザインで作成することができます。アプリの機能の中に、O2Oを実現する「来店スタンプ機能」や「クーポン発行機能」も付いているのが特徴です。
さらなるO2O施策として、タイムリーな情報を「プッシュ通知」として送信する機能が搭載されているほか、ワンタッチでアプリをSNSなどで拡散する「シェア機能」などもサービスに含まれています。
利用する店舗が多ければ多いほど月額費用が抑えられる仕組みとなっており、かつ様々な営業機能を備えたアプリと考えれば高くない導入コストといえるでしょう。
SNSを使ったO2O施策
オンラインからオフラインである実店舗へと顧客を誘導する方法にはSNSを使ったO2O施策も考えられます。
Instagram(インスタグラム)
若い世代を中心に人気を集めているInstagramでは、簡単に店舗アカウントを作成することができます。
アパレルやジュエリーショップなど物品を商品として扱う店舗は、「投稿機能」を使ってフォロワーに店舗の商品情報を届けることが可能です。
Instagramにはハッシュタグといった拡散機能が付いており、短期間で成果を出したいO2Oで注目すべき点といえます。
Instagram広告を利用すれば実店舗でのキャンペーンも告知が可能です。
O2Oの効果を図るには少し工夫が必要となりますが、オンラインから実店舗誘導への効果は期待できるでしょう。
ブログを使ったO2O施策
Web集客の方法としてよく話題に上がるブログ運営は、O2O施策の1つとして考えることができます。Webサイト内のコンテンツ充実を図ることで、ファンやリピーター獲得につなげることが可能です。
しかし小規模ビジネスを展開する個人店などでブログを一から立ち上げ、ある程度の成果を得られるようになるまでには時間がかかります。
理由としては、検索エンジンからの自然検索流入が立ち上げ初期のため見込めないことが予想されるからです。
広告費などの予算を組める場合は別ですが、少ない予算と短期間の運用でブログからの実店舗誘導を考えるならば、「アメーバブログ」などのブログサイトを活用するのがおすすめといえます。
大手ブログサイトのドメインを利用するため検索エンジンで上位検索されやすく、またブログサイト内のブロガーがプロフィールページに訪問する可能性もあるため、始めたばかりでも効果が期待できるのです。
ビーコンを使ったO2O施策
ビーコンとはBluetooth発信器のことであり、実店舗に近づいた顧客に対し「プッシュ通知」などを送信する機能を備えているのが特徴です。
「AIBeacon」ではそうした店舗情報のプッシュ通知のほか、購買履歴だけでは分からない顧客の行動導線をヒートマップとして「見える化」することに長けています。
実店舗へと足を運んだ顧客の行動分析はもちろんのこと、近くをたまたま通りかかった人を顧客として取り込む可能性も期待できるでしょう。
O2O施策は明日から始められる!
今回はO2O施策の様々な取り入れ方を紹介していきましたが、こうしたオンラインとオフラインのスムーズな連携が、やがて顧客の購買体験をより良いものにしていくはずです。
アプリ導入やSNS運用など、実店舗の運用に取り入れやすいものから始めてみてはいかがでしょうか。
(画像はPixabayより)
▼外部リンク
LINE公式アカウント
https://www.linebiz.com/lp/line-official-account/
店舗アプリ
http://tenpoapp.com/
AIBeacon
https://www.aibeacon.jp/analyze/